『心そろう』

『落ち着く』ってどういう状態でしょう。
楽しいとき? うれしいとき? さみしいとき? 穏やかなとき?
辞書には、【不安定な状態から安定した状態になる。動揺が鎮まる】とあります。

 きれいなもの、きちんと並んだものを観ると、凛とした気持ちになり、心が引き締まる。こんな時、心は落ち着くのではないでしょうか。

 こんな話があります。
 犯罪の都市、ニューヨーク。この街から犯罪を減らすためにどうしたら良いか。1994年、ニューヨーク市長に就任したジュリアーニは、ニューヨーク市警察に次のような犯罪防止対策を導入したのです。それは街中の警備を強化し、凶悪犯罪を取り締るというものではありませんでした。

@ 街中の落書きを消す
A 軽犯罪の取締りを強化する

 たったこの2つを強化したのです。するとどうでしょう。それまで増加の一途だった凶悪犯罪が、急激に減少してきたのです。

これは『ブロークン・ウィンドウズ(割れた窓ガラス)』理論と呼ばれ、壊れたもの、汚れたものなどを観るだけで犯罪が増える、つまり小さな秩序(心)の乱れが、大きな乱れ(犯罪)を生むことにつながるということの表れです。

 乱れたもの(ゴミ、悪口、怒った顔など)を目(耳)にすると、誰しも嫌な気分になります。嫌な気分だとやる気も無くなる。やる気が無い時は何をやっても上手くいかない。上手くいかないともっと嫌な気分になる。そして腹を立てて家に帰る。腹が立っているから、家に帰っても靴は脱ぎっぱなし、「ただいま!」も言いたくない。誰にも会いたくないから部屋にこもる。その部屋が散らかっている。まだまだ腹の虫はおさまらない。それどころか余計に腹が立ってくる。初めに何に腹を立てていたのかも分からなくなるくらい。そうそうこれは『失敗スパイラル!』。こんなこと誰でも経験したことありますよね。これもちょっとした心の乱れから始まっているのです。となると、少しでも良い気分で日々過ごした方がいろいろなことが上手くいき、得ということになりませんか?

 では良い気分になるにはどうしたら良いでしょう。それは『心をそろえる』ことです。それには、まず自分の目に付くありとあらゆるものを整頓することから始めます。身の回りのもの、できることから整理するのです。

 玄関の扉を開けたときには、何が見えるでしょう?そう、まずは靴をそろえましょう。次に自分の部屋。脱いだ衣類、かばんの中…。どんどん広げていきましょう。

さぁ、物は整頓されました。次は言葉の整頓です。「おはよ!」、「ありがとう」、「今日は調子いいぞ」などなど。プラスの言葉を使うと、気分が整い、それと同時に顔が整います。つまり笑顔が自然に出来上がります。

 これだけやると、自分の心がそろってきます。次は周りの人の心もそろえましょう。自分の靴をそろえたら、隣の靴も。自分の部屋が片付いたら、居間や台所、教室、グランド…。友達にプラスの言葉で話しかけ、つでに「ニコッ」と微笑みかける。さらに良いところをドンドン誉めてあげる。けなす(悪口)のはダメダメ!これは悪い口癖。言われた人だけじゃなく、自分も気分悪くなっちゃう。マイナスの言葉は必ず、言った本人にも返ってきます。脳は言った方、言われた方の区別はつかないのです。
 あとは
常に『ありがとう』を忘れずに。

 こうなってくると毎日が楽しくてしょうがない。人とたくさん話したい。いろんなことが上手くいく。『成功スパイラル』の始まりです。

 心が落ち着いた時、人はすべてのことに対し、前向き(何にでも挑戦してみよう、きっと上手くいくという気持ち)に取り組むことができます。好きなこと(上手くいくこと)をやるときは誰でも楽しいし、楽しいからまたやろうと思うから。『好きこそものの上手なれ』という言葉があります。どんなときでも、どんなことでも、『好き』『上手くいく』という気持ちで挑戦できるよう常に心をそろえておきましょう。