『未来に活かすことができれば、どんな失敗でも「成功」だ』
〜察知力(中村俊輔著)より抜粋〜
|
「日本人選手がヨーロッパで成功するために」という記事をよく見かける。そういう記事では、試合に出たから成功で、出場時間が短いから失敗と結論づける人が多いこともある。
だが、僕はその考えには同意できない。 成功だったからどうかなんて、引退してから考えることだ。もしかしたら引退してもわからないかもしれない。死ぬ直前ですら、成功だったか失敗だったかなんてわからないかもしれない。 どんなことがあっても、大きな目でみれば「失敗はない」と思っている。確かに、“その瞬間” “ある時期”は、失敗だったと思うかもしれない。でも、それを次へ活かすことができれば失敗にはならない。 イタリアでの2年目、試合に出られなかったときも、逃げることなく、しがみついた。その経験が今の僕をつくてっいる。 試合に出られれば再考だし、試合に出れなくては学べないことも多い。でも、たとへ試合出場が叶わなかったとしても、100%の力でやったのであれば、全部成功だ。 成功とは、そういうことだと思う。100%一生懸命、力を尽くすことができれば、成功となる。 セルティックではたくさん結果が残せた。 しかし、結果は出なかったし、陽も当らなかったけれど、イタリア時代のほうが、壁が多かったぶん、実は、伸びることができたと思う。 出場数やゴール数、たったステージの高さで、成功かどうかは語れない。 10年前に掲げた目標や、子どものころの夢が叶えば、成功というわけでもない。 目標や夢は、ひとつじゃない。現状を察知し、軌道修正を何度繰り返してもいいはず。 どんな環境や立場にあっても、100%の力で戦うことが成功へ繋がる。 厳しい現実のなかで、自分を知り、懸命に生きることが大事なんだ。 今の自分にできることを、手を抜くことなくやった、という実感をもてる毎日を過ごすこと。簡単そうに見えて、これが難しい。なぜなら人には甘えがあるから。 「これでいいだろう」と思ってしまう瞬間。僕はそれが怖い。 なりたい自分になるために、100%で生きることができれば成功だと思う。 成功か失敗かなんて、誰にもわからないし、誰にも決められない。 今の僕に、自分が成功しているという気持ちはない。ただ、成功させたいと願い、毎日を100%で生きようと努めている。 |