『ウサギとカメ』 |
『ウサギとカメ』の童話は誰でも知っていますね。ウサギが走るのをサボって、カメに負けてしまうお話です。その競走の中で勝敗を決めたのは、「何を目標」としていたかの違いなのです。 ウサギは、競走相手、つまり「カメに勝つことだけ」を目標にしていました。だから、とにかくカメよりも速く走ればいいわけです。そこに気を抜いて油断する心のゆるみも生まれたのでしょう。 それに比べてカメは、「ゴールに着くこと」を目標にしていました。相手が速かろうが遅かろうが、とにかく自分の力のすべてを出して目的地に付くことを目指したのです。 もちろんこれは寓話ですから、実際にウサギとカメを競走させてみれば、ウサギの方が速いに決まっています。目先のことだけを見ていれば、速い者が勝ち、遅い者が負けることは確かでしょう。また、今のような世の中では、ウサギの方が要領よく生きていけるように思えるかも知れません。 でも、もっと長い目で見てみれば、どうでしょうか。相手に勝った、負けたと一喜一憂していては、目先の目的地もわからなくなってしまうかも知れません。それよりも、たとえ人より遅れようが、損をしようが、いつも自分のゴールを見て、ベストを尽くすということを続けていれば、最終的には成功を手にすることができるでしょう。 成功とは、何も人より勝つとか、お金持ちになるとかいったことばかりとは限りません。自分らしく楽しく生きることができれば、それがいちばん心豊かだということになるのではないでしょうか。 「成功」と聞いて、思わず常勝やお金持ちになるというイメージが湧いてくるとしたら、知らず、知らずのうちに、「ウサギ」型の人生を生きているのかも知れません。もっとも、それが本当に自分の欲しいものであれば問題はないのですが、実際には物質的には豊かでも、心のなかでは虚しさを抱いている人も多いようです。 もちろんウサギがウサギらしく自分のペースで競走することにすれば、こんなに強いことはないでしょう。でも、そうだとしたら、そもそもこんな競走をすることもなかったでしょうね。 |