『もう一人の私』

「成功する人々の秘密は、その人達が、自分自身に対して、偉大な行為を要求している事実にあります。能力が要求されると、潜在能力を使う意志のある個人からは要求に見合った能力が引き出されます。・・・・チャンピオンとチャンピオンになれなかった人との決定的な違いは、才能や能力、或いは技術に大きな差があったわけでなく、欲望に差があったといわれます。」

 『優勝』は、優勝したいという意識や欲望の差にあるとすると、他のチームだって名古屋FCレディースに劣らず優勝したいと思っています。また『上達』も然りです。どの選手も上手くなりたい、試合に出たいと思っています。しかしながら欲望にそんな差があるように思えない、という反論があるかもしれません。

ここで再確認しておくべき事は
「私達の心は、二つの心で働いています。その一つは意識した心で、もう一つは無意識の心です。」

イメージしやすいように
意識した心を ―“私”
無意識の心を ―“もう一人の私”
としましょう。

 無限の潜在能力を持ち、また行動の大半を支配しているのは“私”ではなく、“もう一人の私”です。“私”が、いくら『優勝したい』、『上手くなりたい』と思ったとしても、それが“もう一人の私”に伝わっていなければ、その実現はありません。

 ここになかなか優勝できない、万年2位のチームがあるとします。優勝したいといつも言っている選手達の“もう一人の私”に伝わっていることは、“あのチームにはまだ勝ったことがないからなぁ”、“優勝など出来っこない”、“あの子より私の方が足が遅いからなぁ”、“あの子には勝てない”ということで、心が止まってしまった選手の意識にも似たようなものであるのではないでしょうか。

 “もう一人の私”にとって、不可能などありません。しかし長年、難しい、出来っこないと言い続けているところへ、急に『優勝する』、『レギュラーになる』などと言い出しても伝わらないのです。その壁を破る唯一の方法は、飽くなき反復です。そして“出来ない”という意識を“出来る”という意識に置き換えるには、圧倒的な量が必要なのです。

 数年前までの名古屋FCレディースの選手達は、私達も一度は優勝してみたいなぁ、だけど無理だろうな、という意識でした。そんな意識でいくら猛練習しても、「無理だろう」の方を実現させてしまいます。だから練習そのものよりも『心のトレーニング』が重要なのです。

 チャンピオンになるにはフィールドでの練習が全て、と思い込んでいる選手、また指導者のもとでは、多分チャンピオンは生まれないでしょう。それはスポーツに限ったことではありません。私達は自分の意識で行動しているようで、実は行動の大半は、“もう一人の私”が支配しているのです。だから、自分を動かすにも、他人を動かす場合も、“もう一人の私”に伝えられていることが必要です。

 さぁ、あなたの心のエネルギーを満タンにしてエンジンをかけよう。あなたの目指す目標に向かって動き出そう!